料理の別人ハリウッド編

料理長!ハリウッド暮らしです!【8】~再び台灣へ・その2~

JETZE.NET

ジェッジジョンソン藤戸です。八月も引き続き台北=ハリウッド=渋谷の循環往復です。

月に何度も飛行機に乗っていると、機内食が前回と同じということが多くなりました。当初はガツガツ食べていましたが最近はハンバーグの時以外、配膳を遠慮してひたすらコーヒー飲んでます。写真はチャイナ・エアラインのエコノミー機内食。気圧が低い場所だと味覚が鈍くなると言われていますが、そういう云々以前に機内食(エコノミー/ビジネス問わず)が美味しいと感じた事がありません。でもハンバーグだけはどの旅客機もまぁまぁ美味しい。

八月はハリウッドの映画関連のレコーディング/効果音制作で台北の忠孝あたりで延々と編集、そしてCM音楽のプロデュース作業。海外のCMは日本と違い、3分を超える長さが基本。日本のように30-60秒だけ作れば良いというわけには行かず、ガッツリ5分の曲を作り、そこから映像に最適な部分を当てはめていく作業行程になります。

景色は「日本のそれ」なのですが、日本じゃない。

異国に来ている感覚は薄いです。ITに関しては日本より断然進んでいる(日本が十数年で抜かされた)。

夜市を見ると「あ、台灣だ」って実感します。夜市、日本人が衛生環境的に嫌がりそうなビジュアルの店も有りますが、営業しているということは食べても死者は出ていないという認識で良いと思います。基本は安全です。       台北には「故宮博物院」という、中国の歴代の王朝の皇帝が所蔵したお宝の一部を展示している、とんでもない博物館があります。中国大陸の秘宝が何故台灣に?と云う方は台灣の歴史をググって下さい。それすら面倒くさいと言う方にザックリ説明しますと、現台灣の政府は元々は中国を統一していた政府で、1949年に起こった内乱で敗北し、台灣に退いてそのままの状態なのです。要は台灣政府も「自分こそが中国の正統な政府である」として今に至ります。退いた際に皇帝のお宝もゴッソリ持ってきたので、台灣に有るわけです。

台北の北方に位置する故宮博物院。デカい。連日観光客で賑わっています。全ての収蔵物が展示されることは稀で、フルコンプしたい人は時期を変えて足繁く通うことになります。僕もなんだかんだで延べ5回は訪れています。時期によってレンタルされてるためです。この日は展示物の中でトップを争う人気秘宝・通称「角煮」が不在でした。お宝なのに角煮。気になる方はこちらをクリックして自分の目で確かめて下さい。マジで角煮です。

故宮博物院の収蔵物は今年から「一部撮影OK」になりました。すごい。撮り放題。写真は「角煮」と人気を二分する不動の2トップの相方「白菜」です。角煮と白菜、この解りやすさ・キャッチーさが人気の秘訣でしょう。翡翠から白菜を彫り出すという。よく見るとキリギリスがへばりついてますが、これは「子だくさん」の願いを込めているそうです。てか当時としては作物を食い荒らす害虫であったはず・・・いつの時代も為政者は・・・。

横から観たら「薄っっっっっっ!!!!」ってなりました。白菜というかレタスのクレープ。

現在でも再現不可能なロストエンジニアリングで製作されたアイテムがズラリと展示されています。写真のソロバン、比較対象が無いのでアレですが、とてつもなく小さい。技術に加えて執念と根気の結晶です。音楽制作にも通ずる部分があるなぁと。

僕がこの世で一番大好きな陶器が展示されています。僕は青磁器が大好きです。青磁器の中でも最高級と呼ばれている「青磁水仙盆」が収蔵・展示されています。青磁は「貫入」という、表面の釉薬のヒビが入るのですが、故宮博物院に飾られている水仙盆はほぼ全くヒビが入っていないのです。目視ではヒビが判らない。現代の技術でも再現不能だそうです。水仙盆の中で最高級の「青磁無紋水仙盆」と「倣・青磁無紋水仙盆」は必見です。なによりこの色。現代の技術でも再現不可能な優しい青。

中国北宋時代の青磁の「お椀」。表面に釉薬のヒビ「貫入」がビッシリ入っているのが判ります。陶磁器の特徴でもあります。先の水仙盆が如何にヤヴァいものか判ると思います。これはこれで美しい。レプリカ欲しい。

これで呑む酒は絶対美味しい。

貫入を敢えてデザインとして成立させた逸品。僕は青磁マニアですが一般には発言してません。言う必要も無いし他人に知ってもらう必要が無いので。知っていても言わないだけ。そういう知識は他にも有りますが「あくまで趣味」です。

玉石から削り出した壷。美しさはもとより何が凄いかって、コレ石なんですよ。取っ手の部分を見て下さい。輪が付いてます。もっかい言います。コレ、1個の石からの削り出しです。凄い。

書物も大量に収蔵されてます。内容云々以前に文字が綺麗すぎて死ぬ。漢字巧すぎ。このクオリティをどんだけのスピードでしたためたのでしょうか。当時の文官たちは凄かった。

1738年11月の文献だそうです。こんなにキレイに残ってる事自体が異常ですが、これも例外なく「アンタ異常に文字巧すぎ死ぬ」です。

漢字ってキレイなんだなと気付かせてくれます。

先の水仙盆はレプリカを購入して東京のスタジオで使用してます。ピック入れ。ちょうど良い使い心地。レプリカ買っちゃうくらい好きです。   台北観光の際はぜひとも故宮博物院に行ってみてくださいませ。人によりますが、全部回るのに半日掛りません。芸術に昇華するための「技術」に感動します。

今回は珍しく真面目なブログだった・・・。

【料理の別人ハリウッド編・8月のリポート】

・ここまで台灣のブログを書いててアレですが、実はウクライナに行ってきました。ハリウッド映画音楽の制作チームの仲良し4人組で、それぞれの故郷(日本/アメリカ/ウクライナ/台灣)を廻ってこようという計画で、アメリカ→東京→一部は大阪に→台北→インドネシアで乗り換え→ウクライナ→トルコ行くはずが情勢不安を考えてキャンセル、という旅程でした。メンバーや関係者には写真を送りつけてましたが、その後、凡ミスで撮影した写真すべて全消去するという大失態をやらかしました。死にたい。来年も行くのでリベンジします。取り敢えずウクライナ美しいし物価がおかしいし最高の国でした。ビールが1リットルで100円とか。500円で食べ放題のレストランとか。道行く女性が全員モデルとか。ウクライナやばい。

・日本ではベースの響先生、その奥様でボイストレーナーKANNA先生が主催する音楽学校の夏季合宿に今年度も参加してまいりました。昨年同様、あんまり役に立っておりません。延々とバイキングを食べる何かか、黙々とBBQを焼く何かになっていました。いろいろすいません。

・来月9月をメドに、ジェッジネット及びブログの管理が、とあるIT広告代理店に移管します。移管の理由はもろもろ有りますが、平たく云うとまぁ、グッズと同じく実験の場やリサーチの場として協力・提供する事になりました。時期をみて一般的なブログページと同様に広告が入るようになるかもですが引き続きよろしくお願い申し上げます。   (9月につづく)

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